一切の妥協を許さず真の国産を追求したオリジナルシート
2022.11.21
ARTA MECHANICS第2弾のカスタムカーとして、まさに開発中のGR86。今回は開発中でなければ見ることができない、オリジナルシートの製作風景をお届けする。
老舗国産シートメーカー“BRIDE”とコラボしたオールジャパンメイドのシート
特にスポーツカーは刺激的で個性的な外装のデザインが大切だが、必然的に滞在時間が長くなる車内空間も、その車の価値を決める大事なポイントだ。
ARTA MECHANICSのカスタムカー第2弾となるGR86では、車内空間のなかでも特に重要なシートのカスタマイズに着手。シートはただ体を預けるだけでなく、快適性や一体感の向上に大きく寄与するのはもちろん、絶対の安全性を担保しなければならない。
そこで私たちARTA MECHANICSがパートナーとして選んだのはBRIDEだ。BRIDEは国内外で行われる数々のレースをはじめ、カスタムカーシーンに欠かせない高品質なシートを開発・製造する老舗メーカー。今回のGR86に搭載されるARTA MECHANICSオリジナルシートは、多くの職人の手によって生み出される、まさにオールジャパンメイドのシートとなる。
強度と軽さを両立したボディシェル
モノコック構造を持つボディシェルの主な材料は、軽さと強度を両立したアラミド繊維を使用。複雑な3D造形とすることで、抜群のホールド性能と高剛性を実現しているが、伸縮性がほとんどないアラミド繊維のシートを1枚貼りするためには、高度な職の技が必要不可欠だ。
安価なバケット形状のシートでは型の外側から貼りこみを行い、場合によってはアラミドファイバーのシートに切り込みを入れる場合もあるが、それでは真の美しさと確かな機能性は担保できない。
また、型にアラミド繊維のシートを貼り付けるために使用するのは、接着剤の役目をするゲルコート。その日の気温や湿度によって乾き具合を管理し、縦横斜め、さらに直線と曲線が入り混じった複雑な形状に、本来ほとんど伸縮しないアラミド繊維が手際よく貼り付けられていく。
速さと正確さが要求される成形作業
さらに、FRPを貼り込んでいくのだが、ここでも熟練した職人技を見ることができる。FRPをどの程度貼り付けるかは製品や形状によって異なるものの、設計された形状と厚みは手作業でなければ実現することは難しい。そして、FRPは時間の経過とともに硬化していくため、その繊細かつ正確な作業にはスピードも求められるのだ。
ボディシェルを制作する最後の工程が、バリ取りと塗装だ。複雑な形状ゆえ、ここでも機械で作業することはできない。やはりここでも、職人の手作業が必要不可欠だ。
試行錯誤を繰り返し最適な意匠線を見つけだす
完成したボディシェルに被せられる表皮にも、私たちARTA MECHANICSの想いが込められている。素材が醸し出す雰囲気やそれぞれの機能性を見極め、上質な乗り心地と高級感を演出。モノコック構造のボディシェルが生み出す高いホールド性とともに、クルマとのさらなる一体感を生み出す。
シートは車内の雰囲気に大きく影響するため、表皮の切り分けである意匠線にも強いこだわりを持ってデザインした。しかし、複数の素材を適材適所に配置し、それにあわせた意匠線を引くことは簡単ではない。何度も試作を繰り返しながら、見た目と機能性のどちらも犠牲にしないデザインを生み出す必要がある。
もちろん、その複雑な形状にフィットさせるため、表皮の縫い合わせはすべて手作業でなければならない。表皮のフィット感は質感の高さに関係するのはもちろん、座り心地とホールド性に影響するため、繊細で完璧な作業が求められるのだ。
シンプルなシートレールだからこそ違いが生まれる
純正シートを交換する際、欠かせないパーツがシートレールだ。その製造工程は、GR86施用の治具に必要なパーツを置き溶接していくというシンプルなもの。しかし、治具そのものの精度はもちろんのこと、的確な溶接にもやはり熟練した職人の技が欠かせない。
精密に採寸されたデータに基づき一つ一つ手作りで作られるシートレールは、私たちが生み出す新たなGR86に最適なシートポジションと高い強度を実現している。
審美眼を持っている方にこそわかる真の“メイドインジャパン”国産バケットシート
私たちARTA MECHANICSが手掛けるカスタムカーやパーツは、これまでにない洗練された質感と新しい価値を提供できるものでなければならない。そして、本物を見抜く審美眼を持った方にこそわかる、特別なものでなければならない。GR86に搭載されるオリジナルシートは、職人の技術が結集した真の“メイドインジャパン”なのである。