見た目だけではなくドライブフィールをも向上させる内装の作り込み
2022.5.25
内装デザインというと、とかく見た目の印象だけで語られがちだ。しかし、LEGAVELOに求めたのは、オーナーしか味わうことのできない特別感とドライブフィール。“特別な車を所有している”という優越感だけではなく、人馬一体のドライブフィールを生み出すLEGAVELOの内装を詳しく見ていこう。
適材適所に素材を使い分け高級感と統一感を高次元で融合
LEGAVELOの持つ魅力がもっとも発揮されるのはもちろん走らせることだが、乗り込むことで得られる特別感も、LEGAVELOの見逃せない魅力だ。
シート表皮に使われているのは、高級素材であるダイナミカスエードとパンチングスエード。質感の異なる素材を職人の手縫いによって仕上げ、矢印をイメージしたステッチパターンを施すことでスーパーカーに相応しい一直線で力強い見た目を演出。シート上部には、ARTA MECHANICSを象徴するオリジナルエンブレムが刺繍され、他に類を見ない独自の空間を演出する。
ドライバーズシートに座ると目を奪われるのが、ドライカーボンを使用したメーターフード。さらに、純正ではシルバーパーツが使用されているインテリアパネルを、カーボンに変更。ステアリングもダイナミカスエードで巻き直し、性能面だけではない質感の高さを感じさせる。
色味はブラックで統一し、外装との一体感を生み出すとともに、ホンモノを知る大人にこそ似合う特別な車内空間を実現した。
特別な1台を仕上げようとすると、ただ高級な素材を使い、時にややビビットな色合いになりがちだ。しかし、LEGAVELOが追い求めたのは、本質的な価値を持ったスーパーカーという姿。そのためには、適材適所で素材を使い分け、見た目の派手さに頼ってはならない。
一部のパーツは純正のまま残すことで、NSXの持つ魅力を活かしつつ、カーボンやダイナミカスエードといった高級素材を使用。落ち着きのある統一感と特別な高級感、対してカスタムカーとしての強い個性を高次元で融合させることで、LEGAVELOオーナーにしか味わえない紳士的な特別感を演出している。
素材感がもたらす人馬一体のドライブフィール
内装にさまざまな素材を使用しているのは、高級感のためだけではない。そこにはスーパーカーであるが故の機能性への配慮も織り込まれている。
たとえば、コックピットに乗り込んでシートに座り、ドアを閉めてイグニッションスイッチを押してハンドルに手をおく。車を運転する際の当たり前の動作だが、手で触れる素材の質感は、ドライブフィールに大きく影響するポイントだ。
路面とタイヤが今どういう状態にあるのか、ステアリングは車と対話する上でもっとも重要なアイテムのひとつ。運転時に握る箇所をダイナミカスエードで巻き直し、手に吸いつくような握り心地を実現し、路面やタイヤからのインフォメーションを的確に伝える。
ダイナミカスエードとパンチングスエードのコンビネーションにより、立体的かつ質感の高く仕上げられたシートも、特別なドライビング体験には欠かせない要素だ。
シートの外側に配された純正の滑らかな表皮は、適度な滑りを生み出すことで乗降性を向上させている。
一方、座面と背面の中央部に施したダイナミカスエードは、大きなサポートで物理的に支えるのではなく、起毛によってホールド力を発揮する。適度にホールドされることで、サスペンションの動きと車の姿勢を身体全体で感じ取ることができるのだ。
路面からのインフォメーションを的確に伝えるステアリングと、身体をしっかりホールドするシート。その相乗効果により、文字通り人馬一体となった感覚を得られると同時に、正確に操れるという安心感をもたらす。
フラッグシップモデルとしてNSXに敬意を払い作り込まれた内装
ドライカーボンを贅沢に使用すると、時に派手になり過ぎてしまうことがある。しかし、LEGAVELOはNSXの神髄はそのままに、ARTA MECHANICSとしてのカスタムを加えた。決して上辺だけの高級感や派手さに走るのではなく、ホンモノを知る大人にこそ分かる紳士のカスタムカーとして開発された。
NSXは、ベースの状態で高品質に仕上げられている。そこに、さらなる特別感を生み出すため、純正の品質を活かし細部の質感を高めることに挑戦した。シートやステアリングは、純正パーツを活かして張り替えられているが、いっそのことゼロから設計した方がより強い個性を打ち出せたかもしれない。
しかし、目的はチューニングメーカーとしての主張ではなく、NSXを愛するオーナーの満足感と特別感。LEGAVELOはARTA MECHANICSのフラッグシップモデルであり、NSXの新しい未来を創造する存在でなければならない。だからこそ、一切の妥協を排除し、細部にまでこだわり抜いた内装に仕上げられているのだ。