プロデューサーレター Vol.02【NSXだからこそ表現できたARTA MECHANICSの思い】
ARTA MECHANICSのプロダクトをより皆様にご理解頂けるよう、今後この場を借りて関係者からの声をレターという形にしてお届けいたします。
プロデューサーレターの第二弾は、ARTA MECHANICSの1号車として開発した「LEGAVELO」の製作にかけた想いをお届けします。
■NSXを1号車に選んだ理由
ARTA MECHANICS開発1号車である「LEGAVELO」のベース車両として選んだのは、ホンダ NC1型NSXです。NSXを選んだ理由はいくつかありますが、どれもARTA MECHANICSには欠かせない要素で、1号車としてはNSX以外の選択肢はなかったと思います。
まず、NSXはSUPER GTというレースの世界で、名門チームとして長年一緒に戦ってきた“戦友”であり、ARTAを象徴するクルマだったということが1番の理由です。また、ARTA MECHANICSの立ち上げに際して掲げた「TOUGH & HIGH RESPONSE 」というコンセプトにマッチしていたのも大きなポイントでした。
クルマの位置付けや価格面から特別なのはもちろん、NSX自体がもともと世界レベルの走行性能を持ったスーパーカーです。カスタマイズが上手くいかなかった場合、クルマ本来の魅力をそこなう危険性すらあります。
これは我々にとっても大きな挑戦でしたが、NSXを1号車に選ぶことでARTA MECHANICSの存在価値を世に示したいという想いもありました。
■日常使いのできるギリギリのラインを模索
NSXをカスタマイズするにあたって、もっともこだわったのがカーボン素材です。軽量で強靭、そのうえ見た目にも美しい綾織りのドライカーボンを採用しました。
NSXには純正で多くの箇所にカーボン素材が採用されています。しかし、メーカーが作ったクルマはコストの問題と「誰でも乗れる」という大前提があるため、理想通りにカーボン素材を使えるわけではありません。
我々ARTA MECHANICSは、NSXが持つレスポンスのよさを最大限発揮できるよう、内装も含めボディパーツを可能な限り理想に近い形でカーボンへ置き換えました。
しかし、LEGAVELOはレーシングカーではなく、あくまで日常で使用するクルマです。ドライカーボンは強靭である一方、万が一破損すると見た目を損なってしまうのはもちろん、破断面が鋭利で危険です。また、すべてをドライカーボン製にすると、価格的にも非現実的なものになってしまいます。
そこで、どの部分なら日常使いでも壊れにくく危険性がないか、あらゆる場面を想定し一つひとつ検討したうえで、使用箇所を決定しなければなりません。性能面だけを考えるとすべてをカーボン製にしたかったので、使用箇所の決定はギリギリのせめぎ合いでした。
■ATHLETE & EXECUTIVEを強く意識したデザイン
LEGAVELOをリデザインするにあたって意識したのは、「ATHLETE & EXECUTIVE」です。レースをはじめとしたスポーツをこよなく愛し、自らも身体を鍛えているエグゼクティブの方々に支持されるデザインを目指しました。
アスリートの持つ力強さや筋肉質な体を表現するために、レーシングカーや戦闘機を思わせる直線的で角のある造形によってパワフルな下半身を演出。一方で曲線を絶妙に取り入れたデザインとすることで、日常的に使えるエレガントさを両立させました。
エグゼクティブという面では、内装の素材と仕上げにもこだわっています。シートには高級素材であるダイナミカスエードとパンチングスエードを使用。質感の異なる素材で抑揚を表現するとともに、起伏のあるシートにしっかりとフィットするよう、職人の手縫いによって仕上げました。
また、スエードをシート素材として使用した理由は、見た目の美しさだけではありません。起毛によって適度なホールド感が得られるため、クルマの姿勢やサスペンションの動きを体全体で感じることができます。同じ理由で、ステアリングにもダイナミカスエードを使用し、内装のデザイン面でもドライビングフィールを第一に考えました。
また、スエードをシート素材として使用した理由は、見た目の美しさだけではありません。起毛によって適度なホールド感が得られるため、クルマの姿勢やサスペンションの動きを体全体で感じることができます。同じ理由で、ステアリングにもダイナミカスエードを使用し、内装のデザイン面でもドライビングフィールを第一に考えました。
走行性能に直接かかわらない内装は、外装に使用している綾織りのドライカーボンとダイナミカスエード、本革という複数の素材を組み合わせて独特の車内空間を作り上げています。
■これまでになかった新しいカスタムカー
LEGAVELOはARTA MECHANICSの1号車であり、ブランドを象徴するフラッグシップモデルです。また、5台のみの限定生産ということもあり、カスタムメーカーとして実現したいことが際限なく盛り込まれています。もちろん、NSXの持つスーパーカーという性格から、パワフルさを全面に押し出したカスタムとなりました。
スーパーカーのカスタムとなると、サーキットに直結する所謂“走り”と“速さ”ばかりを前面に出したものになりがちです。しかし、我々ARTA MECHANICSが目指したのは、NSXの新しい未来とこれまでになかったコンセプトを持ったカスタムカーであり、走りと速さがすべてではありません。
お気に入りのジャケットに袖を通すように、スポーツカーをおしゃれに着こなして欲しいと思っています。そして、手にした者にしか分からない本物の素材感と機能性、ARTA MECHANICSの生み出す新しいカスタムカーの世界を、ぜひ体感してみて下さい。