ARTAの想いが込められたLEGAVELOのこだわり

2022.5.18

LEGAVELOはNSXのカスタマイズカーだ。しかし、各部へのこだわりは単なるカスタマイズの域を超えている。コンプリートカーやレーシングカーを作るのと同様の工程を経て開発された、LEGAVELOのこだわりポイントを紹介する。

LEGAVELOに装着されたカスタマイズパーツを１つ1つ見れば、かなり挑戦的なデザインであることが分かる。しかし、車全体の調和を意識したことで、過度な主張はなく大人の落ち着きすら感じる印象に仕上げた。

大胆なデザインの変更が行われたカスタマイズカーでありながら、LEGAVELOは決して悪目立ちしていない。もともとが細部まで考え抜かれたNSXのデザイン。部分的なカスタマイズでは全体のバランスを崩すことになりかねない。

LEGAVELOは一部のパーツ交換にとどまらず、ルーフやフェンダーパネル、ボンネット、マフラーなどに至るまで大胆なカスタマイズを実施。カスタマイズというよりもゼロから車をデザインするかのような綿密な製造工程は、レース車両を扱ってきたARTAだからこそ可能なカスタマイズだ。

デザインや素材にとことんこだわったLEGAVELOのなかでも、とくにこだわった素材が、高い剛性と軽さを求めるレーシングカーに多く用いられているドライカーボンだ。しかし、ドライカーボンは多くの製造工程が手作業となるため、大量生産ができない。デザイン性だけであればウェットカーボンでも再現は可能だが、本物にこだわって開発されたLEGAVELOにはドライカーボンが欠かせない素材なのである。

軽量であることは走行性能にそのまま直結する。スーパーカーであるNSXのポテンシャルを最大限引き出すためには使用する素材が軽量であることは必須条件だ。

ドライカーボンがもたらすメリットは、レーシングカーよりもロードカーのほうが大きい。剛性と疲労強度が極めて高いことで、車両の安全性が向上。また、耐熱性が高く熱膨張を起こしにくいため、日常使用でも美しい状態を長く保てる点もロードカーには嬉しいポイントだ。

ちなみに、LEGAVELOに採用されているドライカーボンは見た目にもこだわって選ばれている。人間の髪の毛の10分の1という極細の炭素繊維を使い、綾織りすることで、幾何学的で繊細なカーボン柄を創出。攻撃的でありつつ、ラグジュアリーで美しいディテールも見逃せないポイントだ。

LEGAVELOは直線を多用しながらも、絶妙なバランスで曲線を組み合わせることで調和の取れたデザインになっている。エッジの効いた直線部分と見事に融和した曲線部の加工は、すべて職人による手作業だ。

たとえばボンネット。先端のエンブレムをはじめ、ダクト部などは直線的に構成。このデザインにダイナミックな動きを与えているのが全体を構成する自然な膨らみだ。直線と曲線の組み合わせは機械作業だと細部にどうしても歪みが出てしまうため、自然なボディラインに仕上げるには熟練の職人による手作業が必要だった。

また、リアフェンダーも同様。フロントから流れるラインをいかしつつ絶妙な曲線を取り入れた造形によってどっしりとした力強いリアビューを演出している。

前後の流れ、車の個性に合わせた曲線は手作業でしか生み出せない造形美だ。

LEGAVELOの本当の魅力は、運転席に座って初めて実感できる。所有する満足感、車としての性能への期待感が一気に高まる内装は、外装同様に黒で統一。一方で複数の素材を使用することで、表情豊かな大人の空間を演出している。

外装で使用しているカーボンは内装でも随所に使用。さらに内装を豊かに演出しているのが、欧州車やプレミアムスポーツカーにも採用されているダイナミカスエードだ。高級素材であるダイナミカスエードは、絶妙な風合いと手触りの良さが特徴。LEGAVELOの車内には、シート座面やドアパネルなどに使用されている。

とくに職人による手縫いで仕上げられたシートは、こだわりをもっとも感じられる部分の1つだ。純正のスエードと調和させるため、同系色のダイナミカスエードを使用。力強さを演出する矢のようなデザインのキルティングをはじめ、ARTA MECHANICSのエンブレムが刺繍されている。

純正でもカーボンが使用されているルーフを張り替える、手間もコストもかかるドライカーボン、色ではなく造形美で魅せるデザインワーク。これらのこだわりを詰め込んだ結果、LEGAVELOは日本国内限定5台という特別なカスタムカーになった。

妥協のない本物の素材を使い、制作はすべて職人による手作業。

「スポーツカーの楽しさを知ってもらいたい、スポーツカーは"かっこいい"というワクワク感を感じてもらいたい」

LEVELOには、ARTAの想いが込められているのだ。