NSXの未来を紡ぐ「LEGAVELO」ARTA MECHANICSが提唱する“リフィニッシュ”とは
2023.2.17
ARTA MECHANICSはカスタムデザインに関して”リフィニッシュさせる”ことにこだわり、ホンダ NSXのカスタムカー「LEGAVELO」を誕生させた。
これまで「純正には無い個性を付加」したり、「誰もが驚くこと」をこれ見よがしに見せつけたりして価値を付与してきたカスタムカー文化に新たな風を起こした瞬間だったといえる。
NSXのアイデンティティを尊重しつつ、生まれ変わったLEGAVELO。その裏にあった“リフィニッシュ”という新たな概念に迫る。
NSXの「新たな未来」を提案するLEGAVELOに込められたリスペクト
もともとNSXは、ベースの状態から一級品だ。洗練された気品のあるデザインに、一切の妥協を許さない素材。さらに、世界レベルの走行性能を備えている。海外のスーパーカーにも引けを取らない、まさに日本が世界に誇るスーパーカーといえるだろう。
一流のスポーツカーだからこそ、カスタマイズには細心の配慮が必要だった。万が一上手くいかなかったときは、クルマ本来の価値を下げてしまいかねない。とはいえ、カスタムカーとしての個性を忘れてはつまらないものになってしまう。
しかし、LEGAVELOはNSXの神髄である走行性能はそのままに、「新たな魅力を持ったNSX」を実現した。その姿は、まさにNSXの新たな未来。開発の裏には、ARTA MECHANICSが提唱する『市販車が持っているポテンシャルを活かしつつ、新たな価値を付与して魅力を高める“リフィニッシュ”』という新しい概念がある。
NSXの走行性能をスポイルさせないドライカーボン
LEGAVELOを開発するにあたり、もっとも重視したのがドライカーボン（CFRP）だ。NSXは純正でも多くのカーボン素材を使用しているが、フェンダーやボンネット、ルーフなど多くのパーツを新たに制作。その量は、ボディ全体の65％にも及ぶ。
ドライカーボンは軽量でありつつ剛性のある優れた素材だ。しかし、原価が掛かるだけでなく、美しい面を出すには相応の高い技術力が欠かせない。さまざまなコストが掛かるのにも関わらず、なぜそこまでドライカーボンにこだわったのか。それは、NSXのポテンシャルを最大限引き出すことに一切の妥協を許さなかったからだ。
軽量であることは、走行性能を維持するうえでは欠かせない要素。ドライカーボンを使用できる限界に挑戦したことで、NSXのハイレスポンスな操縦性を十二分に実現した。
NSXの神髄ミッドシップレイアウトはそのままにリアビューを一新
NSXはエンジンをリアセクションに搭載するミッドシップレイアウトを採用している。ミッドシップレイアウトは重量バランスに優れており、ハンドリング性能が一頭地を抜く。NSXが世界レベルの走行性能を備えている大きな理由のひとつだ。
しかし、ミッドシップレイアウト車にとって、リアセクションのカスタマイズは容易なものではない。エンジンがあることでデザインの自由度が低いことに加え、長所である走行バランスを崩してしまいやすいからだ。ところが、ARTA MECHANICSは蓄積されたノウハウと高度な技術力でNSXのリアビューを一新した。
リアバンパーとガーニッシュが形成している立体感のあるライン。両サイドの下部にある大型ダクトと大型のリアディフューザー。そして、ボディーカラーのブラックと統一した立体文字のエンブレムなど、主張し過ぎることなく存在感のある仕上がりとなっている。
GTカーのような屈強な見た目ながらも、ホンモノを知る大人が乗るに相応しいスポーツカーとして、その美しい表情を失っていない。
ホンモノを知る人にこそ分かる「かっこいい」にこだわりぬいたデザイン
注目すべくは、幾何学的な綾織りが美しいドライカーボンのボディパーツだ。あえてマッドブラックで塗装したことにより、ラグジュアリーでありつつ紳士的なたたずまいと洗練された雰囲気を実現している。NSXのアイデンティティを尊重しつつ、唯一無二のデザインを与えた。
シートやステアリングは、純正パーツを活かしつつシルバーパーツをカーボンパーツに張り替え、もともと高品質なNSXにさらなる特別感を付与している。カスタムカーであれば、内装は一新してもよかったのかもしれない。しかし、ARTA MECHANICSが提唱する“リフィニッシュ”の概念は、カスタムカーはあくまでも「素性を活かすこと」だ。
ホンモノの素材にこだわりぬいた外装と内装。見ている人だけでなく、乗り手であるオーナーが「かっこいい」と思える空間にこだわりぬく。LEGAVELOは上辺だけの高級感に翻弄されることなく、ホンモノを知る人のみが堪能できるカスタムカーだ。