Column #05「車で出かけた先で出会う人や自然の多様性」

「車で出かけた先で出会う人や自然の多様性」

車での旅、すなわちロードトリップは、さまざまな出会いや経験をさせてくれる。旅を通じて印象に残るのは風景を彩る自然だったり、その土地で出会う人だ。自然はその土地の気候や特性によって、長い年月をかけて形成されたモノである。

それを理解するためには、写真やインターネットの情報では到底理解することはできない。やはりその土地に実際に訪れ、頭からつま先まで、カラダ全体で感じることでしかない。素晴らしい景観を目の当たりにした時、とっさに携帯で写真をとっても、伝わらないなーと感じた経験はないだろうか? それと同じで、本物の自然は、リアルに体感することに勝るものは他にない。

迷っているならエンジンをかけてみてほしい。向かう先には、そこにしかない自然や人との出会いが待っている。

カーライフで得られる経験

車がある生活は、自ずと行動範囲を広げてくれるということは言うまでもないだろう。しかしここでいう行動範囲というのは、近所のスーパーに買い出しに行くということではなく、普段は訪れない地へ足を踏み入れることができるということだ。もちろん電車やバス、さまざまな交通機関を利用すれば行動範囲を広げるということはできる。

だが、好きな時に立ち止まり、好きな時に休憩できる車での移動は、すごく勝手で自由な旅の時間を過ごすことができる。その道中では、日常では絶対に出会うことのない自然の風景や人との巡り合わせが必ず待っている。それこそがロードトリップの醍醐味なのだ。

人の多様性

カーライフで得られる人との出会いでは、人の多様性を身近に感じることがある。近年では、世界中で幅広い性別や価値観を尊重する際に多様性というワードが用いられることが多いだろう。旅で感じる多様性とは、例えば言葉やファッション、ライフスタイルなどからも感じることができる。「その土地ならでは」な要素が人にも反映されていると、面白いし、興味が湧いてくるのだ。
そして何よりもそれが個性となり、自分の旅の記憶に残ることで、旅を豊かなものにしてくれるのだ。

自然で生きる多様性

人の生活様式一つとっても、その土地の特性や広さ、趣味趣向によって違う。積雪量の多い地域では、朝から屋根に積もった雪かきがモーニングルーティン化されているし、都心ではタクシーに乗って出勤する人もいる。
生活スタイルだけでなく、アウトドアの中でも多様性を語ることができる。ソロなのかグループなのか、どんなギアをチョイスしているのか、カラーリングやファッションスタイルなど、キャンプ場に行けば十人十色のサイトが広がっている。
カーライフも同様のことが言える。家族で車中泊できるよう、ハイエースにDIYやカスタムをしている人もいれば、軽自動車で自由気ままに一人旅する若者もいる。そのどれもが間違いでなく、正解なのである。

行動力を持つ

カーライフは、車での旅ならではの出会いや経験をもたらしてくれる。しかし、チケットを買って、乗るだけで進むというわけではなく、決して気軽に楽しめるライフスタイルではない。しかし、こんな時代だからこそ、行動力が試されている気がする。
車というのは、人の行動範囲を広げてくれる手段・方法であり、ひいては人生そのものを豊かにできる可能性を大いに秘めている。
たとえ車が好きでなくても、車の知識がなくてもいい。車が行き着く先で、その道中で、帰り道で、まだ見ぬ風景や体験、価値観を得ることができるだろう。その体験や知識は、スマホで検索しても得られない、人生の財産だ。

人それぞれの旅があっていい。それも多様性である。決して車で行かなければいけないというわけではない。飛行機でも自転車でも旅の先に出会いは必ずある。車を持たない若者も増えてきているが、それも一つの多様な考え方だ。ただ、自ら行動範囲を狭める必要はない。
それは冒頭から申し上げている人や自然に出会う機会がいくらか少なくなってしまうからだ。
これからの時代、さらに多様性という言葉が求められていくだろう。ただその時になって考えてみてほしい。
自分はどのくらい国内の土地を知っているだろう。実際に訪れたことがあるだろう。その土地を肌で感じ、目の当たりにしたのだろうと。
何もそれだけで多様性を語れるわけではないが、旅を通じて出会える人や経験は多い方がいい。
この記事を読んだことで、人生という旅において、実際に行動に移す人がいてくれたら嬉しい。


文 : 山田 昭一

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