単なるリブランディングにとどまらない新たな形を見せるARTA MECHANICS PRESENTATION
2023.2.4
東京オートサロン2023のARTAブースで開催された“ARTA MECHANICS PRESENTATION”。2018年から始まったARTAのリブランディングについて、株式会社オートバックスセブン ライフスタイル事業担当 執行役員 小曽根憲氏とARTAクリエイティブディレクター 小野勇介氏が詳しく語ってくれた。
2018年から始まったリブランディング
2018年からARTAのリブランディングを開始し、単なるレーシングチームから、レーシングスポーツブランドへと大きな変貌し続けている。
鈴木亜久里総監督とともに、ARTAの立ち上げから20年以上オートバックスはスポンサードという立場でチームを支えてきた。鈴木亜久里氏のひと言でリブランディングに着手したARTAは、今やカスタムカーの販売も手がける一大事業にまで成長。当時を振り返りながらリブランディングについて小曽根氏に語ってもらった。
「レースはカッコよく」きっかけは鈴木亜久里氏のひと言
リブランディングのきっかけについて、鈴木亜久里氏の言葉が背中を押したという小曽根氏。「リブランディング以前は、単にレース会場で応援グッズなどの物販を展開しているだけでした。」と当時を振り返る。そこでリブランディングの背中を押してくれたのが鈴木亜久里氏の言葉だったという。
「レースはカッコよくなくちゃ。俺たちカッコいいレースチームを作ってきたんだから、オートバックスさんも頑張って。」鈴木亜久里氏の言葉に後押しされた小曽根氏は、「リブランディングが始まってここまで6年間ですが、かなり駆け足でプロジェクトを進めました。」
レーシングチームからレーシングスポーツブランドに
「リブランディングにあたっては、まずクリエイティブディレクターとして外部から小野氏に参加いただきました。」と大きな改革だったことを強調した小曽根氏。一気にカッコよくなったARTAのブランドイメージについては、「ARTAはレースチームとして始まったのですが、レーシングスポーツブランドに事業の定義を変えました。」と、根底からの変更だったことを明かしてくれた。
「レース外でも365日触れていただけるブランドにしたかった」という小曽根氏の狙い通り、売上額は3〜4倍に成長。事業化というステップにつながった。
ARTAを事業化しリブランディングを加速
リブランディングによって打ち出す方向性を明確にし、単なるグッズ販売にとどまらず、事業化を目指してカスタムカーの制作に着手する。2022年、2年越しで発表にこぎつけたARTA MECHANICSの立ち上げについても語ってくれた。
カスタムカーブランドARTA MECHANICSを立ち上げ
「リブランディングの成功を受けて、ARTAの事業化に着手しました。2年ほどかけてようやく昨年2022年に、初のカスタムカーとなる総額5,000万円のLEGAVELOをリリースできました」と、ブランド確立に本気で取り組んだ一端を紹介してくれた。
小野氏はLEGAVELO制作開始時期について「最初は小曽根さんからのLINEでした」と苦笑いをしながら振り返る。「まさかここまで本気だとは思わず、最初は掴みきれなかったです。でも、取り組んでみて本当に緊張感のある、わくわくするプロジェクトでした。」と手応えを口にした。
カスタムカー第2弾となるVIGALEをリリース
LEGAVELOのリリースからちょうど1年後の2023年1月。ARTAカスタムカー2号車となる"VIGALE"をリリース。トヨタ GR86をベースにした理由について、「カスタムカー事業をするにあたって国産車というのは絶対条件でした」とARTA MECHANICSの国産へのこだわりを話してくれた。
「オートバックスのカー用品店という立ち位置を考えて、2号車は国産メーカーNo.1のトヨタさんにしたいと思いました。」と、日本の自動車産業へのリスペクトも込められていることを明かす小曽根氏。
小曽根氏の言葉をついだ小野氏は、「LEGAVELOの掲げたコンセプトの1つ“TOUGH”を、VIGALEでは、日本刀のようなシャープな強さという方向で高めました」とあくまでも"日本"にこだわっていることを強調した。
今春オープンするARTA旗艦店
ARTA初のフラッグシップショップが、2023年3月末〜4月中旬オープン予定で準備が進んでいる。「ARTA MECHANICS&INSPIRATIONS」として東京都江東区新木場にオープン予定のショップは、どんな空間となるのかパースを見ながら語ってくれた。
非日常体験をできるショップを目指す
「鈴木亜久里さんや土屋圭市さん、現役のレーシングドライバーなどを招いて、非日常を体験していただくためのショップにしたいと思っています。」とショップでのユーザー体験について熱く小曽根氏は語る。「イベントやパーティーを仕掛けて、お客さまに新しい仲間が増えていくような空間にしたいです」と、単なる商品販売店舗ではなく、ユーザー体験型の施設にしたい旨を明言した。
クルマを中心にした新しい体験をできる秘密基地
ショップ名に"&INSPIRATIONS"という言葉をつけた意味について、小野氏が教えてくれた。「クルマを買っていただく、見ていただくだけではなく、クルマを中心としたコミュニティづくりを我々は目指しています。」としたうえで、「これまでなかった刺激や体験を、新木場で実感していただきたい。文字通りインスピレーションを受け取れる秘密基地的に捉えていただければ」と名付けた想いを語ってくれた。
大型ギャラリーのような魅せ方
「ARTAはもともとレーシングチームというところから、無骨で荒々しいイメージの倉庫を選びました。」と小曽根氏が場所選定の理由を話す。
続けて小野氏は「倉庫のもつ良さをできるだけ活かしたかった。一方で、展示される車両は5,000万円を超えるので相応の魅せ方を考える必要がありました。そこで、海外のアートギャラリーのように高い壁を巡らせた内装に落ち着きました。展示という観点でもギャラリーというのは親和性が高いのかなと。」とショップデザインにあたっての狙いを教えてくれた。
ビジネスモデルを進化させていくことが重要
「単なるリブランディングにとどまらず、ビジネルモデルをどんどん進化させることが大事だと思っています。」と小曽根氏は最後に話してくれた。
レーシングチームとして始まったARTAは、単なる応援グッズの販売にとどまっていたところから、わずか数年でブランドイメージを確立。アパレル商品だけではなく、2台のカスタムカーまでリリースするにいたった。そして、2023年春にはショップのオープンまで控えているARTAの今後のさらなる進化から目が離せない。